参加者の声

Happy Voices

NOBUKOさん
NOBUKOさん

がん種

肺腺癌 ステージIII

治療

手術、化学療法

現在

寛解

がんが発覚した時のこと

当時、私は高校の音楽の教師をしており、年度末の3月は新年度に向けて大忙しでした。仕事の合間をぬって人間ドッグを受けた結果、医師が私に「あーこれは癌ですね〜」と軽く言い渡したので、「えっ?癌?誰のこと?」と私の頭は理解不能でした。私の驚愕な思いとは裏腹にサクサクと手術までの検査の日程と手術日が決められました。とどめは「ステージIIIだと5年生存率は約30パーセントですね〜。」と言われたあたりから察しの悪い私も「これは大変なことになった・・4月から新学期を迎えられない!というより命すら危ない!」ということがわかり始め、その年の12月まで休職を決意しました。それまで毎年受けていた人間ドッグは異常なしでした。体力にも自信があったので何が悪かったのだろうか、何かの罰なのだろうかと呆然としましたが、だんだん「このままでは終われない!癌もとってしまえば治る!」となぜか楽観的に思い、入院準備を始めました。

その後の治療〜寛解、現在まで

左肺の上の方の奥に癌が見つかり、2014年5月に左肺を3分の2と転移していたリンパを切除しました。肋骨を外しての開胸手術で約8時間かかりました。開けてみてからの状況によって声のリンパや左肺を全部とるかも知れないし、命の保証もないかも知れないと説明されていたので、手術が終わって目が覚めた時この上なく安堵しました。

そこから、痛みがひどくて居ても立っても居られない日々が暫く続きました。頭の中はいつもぐるぐると死への恐怖があり、息を吸うと左胸に激痛が走るので、リズムがつかめなくて吸うのを忘れたり、何度も吐いてみたりめちゃくちゃでした。そして、夜は全然眠れませんでした。医師からもらった眠剤を飲めば飲むほど頭痛や腰痛に悩まされ、寝付けないまま朝4時くらいになると、あたりがふんわり朝の雰囲気になってきて、「ああーよかった。きょうも朝が来た。生きてる!」と自然と喜びが湧きました。

10日ほどで退院しその後の治療方針は、体力の回復を待って抗がん剤を4クールやるということでした。

手術から1か月くらい経過してだんだん呼吸も考えも落ち着いてきて、自分の幸せはなんだろう。と禅問答のような日々になってきました。まず、息が吸えるということが幸せで、この幸せな時間を今生きることが幸せで、もう堂々巡りですが、一人静かに瞑想を始めていました。

8月になり1回目の抗がん剤を投与しました。副作用は人それぞれだし、私は気合いで乗り越えられるかなと楽天的に考えていましたが、投与後意識も遠のくほどの苦しみとなり、抗がん剤は中止することにしました。1回抗がん剤を投与しただけで髪の毛は抜け落ちて意識不明の状態ということは、予定通り4回やったらどうなっただろうとぞっとします。

そうこうしていくうちに体の左半分が動かない!という事態に見舞われました。脳梗塞か脳転移かとまた不安にかられましたが、おそらく左半分が激痛過ぎて一時的に筋肉が麻痺したのだろうと診断されました。毎日リハビリに通いましたが急には好転せず焦っていました。自分なりにヨガの呼吸法とともに、少しずつ麻痺している部分に呼吸を送ったり、ヨガのポーズで血行をよくしたり、三朝温泉(鳥取県)で三日間朝を迎えれば病気が治る?と聞いて飛行機でかけつけたり、病気に効くらしいと聞くとあちこち出かけて、できることは何でも試していました。そして徐々に麻痺は遠のいていきました。

翌年1月に何事もなかったように仕事に復帰し、そこから3年間さらに忙しい教師生活を送っていましたが、悩みに悩み抜いて、一大決意をして退職しました。(長くなるので中略笑) 一つだけ言えるのは、ストレスと不規則な生活が癌を作ってしまったことにやっと気づいたのです。体力に自信があったのではなくて、体のサインに鈍感だっただけでした。人間ドッグで見つからなければ、私はそのまま気づかず、癌は体の内部で暴走していたことでしょう。

まず教師を辞めて日常生活を見直しました。朝ゆっくりと朝日を浴びて、足の裏から充電して体中にエネルギーが行き渡るのを実感して瞑想をしています。癌発覚から8年が経過しようとしていますが、今が一番元気で充実していて、今ここに生きていることに感謝しています。ストレスをためない生活とは?免疫力がアップする食べ物は何か?無農薬の野菜を自分で作る。日々自分で育てている野菜を料理してゆっくり食べる・・等々これまで忘れ去っていた食が体を作るということをじっくり考えています。

食生活の見直しから、アーユルヴェーダに興味を持つようになり勉強を始めました。毎日の心と体を観察して病気の予防と治療だけでなく、よりよい人生を目指すためにはとアーユルヴェーダとヨガの資格(RYT200)を取得し、その後学びを深めています。

「がん経験者のためのヨガ」との出会い、続けている理由

これまで一人でがむしゃらに歩んできましたが、ふと自分以外のがん経験者はどうされているのだろうと思い、検索していたら「がん経験者のためのヨガ」に出会い、即申し込んでみました。レッスンではRavi先生の優しい声ときめ細かいご指導で、体はとろけるように緩んできました。それと同時に血流が促進されて、毛細血管まで行きわたる感じが心地よくて、ゆっくりと呼吸ができるようになりました。一緒に参加している皆さんもとても明るくて、日頃なかなかできない病気の話なども楽しくおしゃべりできます。今はNagisa先生、Yasuko先生、Junko先生、Mari先生にもレッスンをしていただけるようになり充実した時間を過ごさせていただいています。なるべく一日のうちどこかの時間でレッスンに参加したいと時間を調整しています。

Ravi先生がいつもレッスンの終盤でお話しされている「どんな状況におかれても、自分の呼吸に意識を向ければ、穏やかな自分に戻ってこられます。その信頼をヨガの練習を通じて深めていきましょう。」ということをいつも肝に銘じています。毎日練習していくうちに体がそっと軽くなっていくのを感じています。

NOBUKOさんからのメッセージ

癌とともに暮らしていくことは不安なことが多いです。人によって症状や進行状況が微細に違っていて、自分も医師も何の薬が自分に合うのか合わないのか、試してみないと展開はわからないと思います。しかし過去を悔やんでもしかたがないし、これから起こるであろう未来を憂いてもしかたない!とにかく自分を信じて、心と体を整えて行きたいです。

「こうでなくては!」としがみついたり、堂々巡りに悩んだりすることはもう手放して、いつも笑って楽しく生きていけたらいいなと思っています。身近な日々の生活に小さな幸せはたくさんちりばめられています。

皆さん!「がん経験者のためのヨガ」レッスンをできることから始めてみましょう。たくさんの幸せを見つけていきましょう。!!!